膵・胆のう・胆管がん

膵臓がんは主に膵管上皮から発生するがんです。60歳以上の高齢者に多く、高齢化社会の進行に伴って近年増加傾向がみられます。2020年の統計では、日本人のがんによる死亡のうち、肺がん、大腸がん、胃がんに続いて4番目に多いのが膵臓がんでした。

膵臓がんの発生には遺伝子変異が関与していると考えられていますがその原因は明らかではありません。慢性膵炎、糖尿病、膵管内乳頭粘液性腫瘍、喫煙、膵臓がんの家族歴などがあると膵臓がん発症のリスクが高いと言われています。早期の段階では症状が出づらく、進行すると上腹部痛、背部痛、黄疸、疲労感、食欲不振や体重減少などの症状が認められます。診断には腹部超音波、CT、MRIなどの画像検査が重要です。

胆道は肝細胞から分泌された胆汁が十二指腸まで流れるまでの全ての流出経路を指します。肝外胆管上皮から発生するがんを胆管がん、胆嚢から発生するがんを胆嚢がんと呼びます。胆管壁も胆嚢壁も非常に薄いため壁を越えて外側へ浸潤、転移しやすいため、進行がんで見つかることが多く、早期がんは検診のエコーや胆石発作の際に偶然発見されたり、胆嚢炎に対して胆嚢摘出術をおこななわれた後の組織の検査で見つかったりします。胆管がんの症状としては黄疸が多く、胆嚢がんでは特徴的な症状はありませんが、進行すると腹痛や腹部のしこり、黄疸などの症状がみられます。

当院での診療の特徴

内科領域

膵臓がんや胆道がんによる胆道狭窄に対しては内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)での精査や胆管炎や黄疸に対して胆道ドレナージなどの処置をおこないます。胆道ドレナージには、がんによる胆管のつまりを解除するために内視鏡で胆管内にステントを留置する方法や皮膚を通して肝内胆管にチューブを入れる方法などがあります。胆管炎に対しては緊急処置が必要となる場合が多いため、随時夜間休日も対応しています。

膵臓がんや胆道がんは診断されてから手術に至るまでに内科で上記のように黄疸や胆管炎の治療、ERCPなどでの精査が必要となる場合が多いのですが、当院では外科、放射線科と頻回に意見交換をしつつ治療方針を決定し、手術の適応となるケースでは可能な限りスムーズに外科に治療を引き継ぐようにしています。

また、超音波内視鏡やPET-CTなどの検査が必要な場合には筑波大学病院などと連携しています。外科手術の適応とならない場合には化学療法をおこないますが、ほとんど外来通院でおこないます。

外科領域

膵・胆道がんの手術は、全国統計のデータをみても重篤な合併症の可能性が高い手術ですが、外科手術の是非により予後が大きく変わる疾患ともいえます。
そのため当科では、治癒切除が可能と考えられる限り手術をおこなう方針としております。

当院の膵・胆のう・胆管がん等に係る手術等実績

胆管内視鏡的胆道ステント留置術5
膵頭部腫瘍切除術(リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍)1
腹腔鏡下胆嚢摘出術1
肝門部胆管悪性腫瘍手術(血行再建無し)1
膵臓膵頭部腫瘍切除術(リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍)2
内視鏡的胃、十二指腸ステント留置術4
膵体尾部腫瘍切除術1
経皮的胆管ドレナージ術1
内視鏡的胆道ステント留置術10
(2021年実績)

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